そ嚢停滞(サワークロップ)
概要
インコにおける代謝性の消化器系疾患。そ嚢うっ滞(新生児)は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
インコにおけるそ嚢うっ滞(新生児)の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
インコのそ嚢うっ滞(新生児)はそ嚢の運動低下・排出遅延により内容物が停滞・貯留する病態。低温・不適切な給餌(過度に濃厚/低温の流動食)、脱水、異物・繊維の過食、基礎疾患(感染・全身疾患)、神経筋障害が誘因。
病態生理
運動低下により内容が停滞・脱水固化し、伸展した壁の血流障害・二次的な微生物異常増殖を生じる。重度では通過障害・誤嚥・栄養不良に至り、雛では成長停止を招く。
診断
雛のそのう触診で食滞・ガス貯留を確認し、そのう内容物の性状を評価。そのう液のグラム染色で細菌叢異常(グラム陰性菌優位)・カンジダ菌を検出。そのう液培養・感受性試験で起因菌を同定。X線撮影でそのう拡張・消化管ガスパターンを評価。体重の連続測定で成長曲線の停滞を客観的に把握。環境温度・挿し餌温度・濃度・頻度の飼育歴を詳細に聴取。鑑別としてポリオーマウイルス・カンジダ症・先天性消化管異常を除外。
治療
セキセイインコのそ嚢停滞(サワークロップ) — そ嚢排出遅延によるそ嚢内容の発酵、悪臭ガス産生、二次的細菌/酵母過増殖。手差し雛(不適切な温度/粘度のフォーミュラ)と基礎消化器疾患のある成鳥に多い。【診断ワークアップ】: そ嚢触診(膨隆、ドウ状、液体充満)、そ嚢洗浄液細胞診(グラム染色 — カンジダ菌糸/出芽酵母、グラム陰性菌を確認)、X線(そ嚢膨隆、異物、前胃拡張)。【即時治療】: そ嚢洗浄 — 柔らかいゴムカテーテル(3.5-5 Fr栄養チューブ)をそ嚢に穏やかに挿入、温滅菌生食(セキセイインコで5-10 mL)を注入、穏やかにそ嚢をマッサージ、内容を吸引。洗浄液が透明になるまで反復。誤嚥性肺炎防止のため吸引中は頭を下に傾ける。【基礎原因の治療】: 【カンジダ症(サワークロップの最多原因)】: ナイスタチン300,000 IU/kg PO q8-12h×7-10日間(局所抗真菌薬、そ嚢内で局所作用)。全身カンジダ症疑いにフルコナゾール5-10 mg/kg PO q24h。【細菌過増殖】: グラム染色に基づく — グラム陰性桿菌: エンロフロキサシン15 mg/kg PO q12h×10日間。【そ嚢異物】: 異物摂取エントリ参照 — 内視鏡的または外科的除去が必要な場合あり。【前胃拡張症(PDD)】: 体重減少を伴う慢性そ嚢停滞にボルナウイルス検査。【消化管運動促進】: メトクロプラミド0.5-1 mg/kg PO q8-12hで消化管運動促進(閉塞疑いでは回避)。シサプリド0.5-1 mg/kg PO q8-12h(代替消化管運動促進薬)。【食餌管理】: 大量一括より少量頻回給餌。手差し雛: フォーミュラ温度38-40°C(低温は排出を遅延)、適切な粘度、適切なそ嚢充填量(過充填厳禁)。成鳥: そ嚢回復中は消化しやすい柔食、段階的に通常食に復帰。【支持療法】: 保温28-30°C、脱水時SC輸液50-100 mL/kg/日。【モニタリング】: そ嚢排出時間は24-48時間以内に改善するはず。7日でそ嚢洗浄液細胞診を反復。持続する停滞: PDD、重金属中毒、解剖学的閉塞を調査。参考: Antinoff N (2005) Vet Clin North Am Exot Anim Pract; Ritchie BW et al. (1994).
予防
インコにおけるそ嚢うっ滞(新生児)の予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
インコにおけるそ嚢うっ滞の予後は寄生虫種・寄生数・宿主免疫状態・治療反応性により異なる。早期発見と適切な駆虫薬投与により多くの寄生虫症は良好な予後だが、重度感染・心血管寄生虫・血液寄生虫では治療反応が遅延する。再感染予防のための環境管理・媒介動物制御の継続が長期予後を左右する。免疫不全状態では治療抵抗性となるため、基礎疾患管理も並行する。
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