肝コクシジウム症
概要
肝臓に影響するコクシジウム感染で、肝腫大、胆管過形成、肝不全の可能性があります。
主な症状
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臨床徴候
チンチラにおける肝コクシジウム症の臨床徴候は寄生虫種・寄生部位・寄生数により異なる。消化管寄生では下痢・嘔吐・体重減少・腹部膨満、外部寄生では掻痒・脱毛・皮膚炎、心血管寄生では咳・運動不耐性・腹水、血液寄生では貧血・発熱・元気消失を呈する。幼若・栄養不良個体では重症化しやすく、慢性経過では発育不良が顕著となる。
原因
肝臓/胆道組織に感染する寄生虫が原因。感染期(卵・オーシスト・幼虫)の経口摂取・直接接触・ベクター・経皮侵入で伝播。不衛生・屋外曝露・免疫抑制・ストレスが素因。チンチラの食性が特定の寄生虫生活環への曝露を増加させうる。
病態生理
寄生虫は経口摂取・皮膚穿通・ベクター媒介によりチンチラの肝臓/胆道組織に感染を確立する。寄生体は直接的な機械的損傷・栄養競合・免疫病理学的反応を通じて宿主組織を損傷する。寄生体段階の周囲に好酸球性・肉芽腫性炎症が発生する。慢性感染は組織線維化と臓器機能障害に至る。
診断
糞便のショ糖浮遊法でEimeria chinchillaeオーシストを検出(間欠排出のため連続3日採便推奨)。腹部超音波で肝臓の結節性病変・胆管拡張を描出。血液生化学で肝酵素上昇(ALT正常値10-45 U/L・GGT上昇)・低Alb・高ビリルビンを評価。CBC・血液生化学で貧血・白血球変動を確認。チンチラの肝コクシジウム症は若齢個体・過密飼育・ストレス環境(>25℃)で重症化しやすい。確定診断は肝生検の病理組織学的検査(胆管上皮内の虫体確認)
治療
トリメトプリム-スルファメトキサゾール(TMS)15-30 mg/kg PO q12h × 10-14日をチンチラの第一選択抗コクシジウム薬とする。トルトラズリル 10-25 mg/kg PO q24h × 3日、7日間隔で反復(全ライフサイクルステージに有効)。代替としてポナズリル 20-30 mg/kg PO q24h × 7-14日。支持療法:脱水にSC輸液(LRS 20-40 mL SC q12h);食欲不振時はクリティカルケア(Oxbow)シリンジ給餌;肝保護療法としてSAMe(S-アデノシルメチオニン)20 mg/kg PO q24hまたはミルクシスル(シリマリン)4-15 mg/kg PO q24h。治療中は肝酵素(ALT, ALP, GGT, 総ビリルビン)を週1回モニタリング。経口ペニシリン系やエリスロマイシンは絶対に使用しない(致死的腸内細菌叢異常)。環境消毒:オーシストは標準消毒剤に抵抗性 — 10%アンモニア溶液を使用;糞便を毎日除去;全敷材を交換。オーシストの胞子形成に48-72時間必要 — 毎日の清掃で再感染を予防。治療後2週と4週でオーシストモニタリングのため糞便浮遊法。接触した全チンチラを治療。黄疸/肝不全を伴う重度肝障害は予後慎重〜不良。繁殖コロニーでの過密と糞口経路サイクルを防止。参考:Quesenberry & Carpenter 4th ed; Mans & Donnelly, Disease Problems of Chinchillas.
予防
予防には適切な飼育管理(適切な食事・清潔な環境・最適な温湿度);定期的な獣医師の健康診断;新規動物の検疫;ストレス軽減;種特異的予防措置が含まれる
予後
適切な駆虫薬治療で予後は一般的に良好。重度感染や免疫不全チンチラでは予後不良となりうる。環境消毒と再感染予防が長期的な予後改善に重要。定期的な糞便検査と予防的駆虫が推奨される。
関連する薬品
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