脚骨折
概要
外傷や代謝性骨疾患による脛足根骨または足根中足骨の骨折。
主な症状
原因
外力(落下、衝突、圧迫、咬傷、鋭利物による切創)による組織の物理的損傷が直接的原因である。不適切な飼育環境(狭小・過度に高い構造物、鋭利な突起物、滑りやすい床面)、他動物との闘争、不注意な取り扱い、逃走時の事故が受傷の主要な状況として挙げられる。幼若動物や骨密度低下状態の個体では損傷が重症化しやすい。
病態生理
外傷の病態生理は機械的エネルギーによる直接的な組織破壊から始まる。血管損傷により出血と血腫が形成され、組織虚血が進行する。損傷組織からDAMPs(損傷関連分子パターン)が放出され、自然免疫系を活性化して急性炎症反応を惹起する。重度の外傷では全身性炎症反応(SIRS)、凝固障害(外傷性凝固障害)、虚血再灌流障害が多臓器不���の引き金となる。
治療
セキセイインコの脚骨折 — 脛足根骨と足根中足骨が最も多く骨折。外傷性骨折(急性発症、腫脹、握雪音)と病的骨折(MBD、腎腫瘍による骨融解)を鑑別。【緊急安定化】: メロキシカム0.5-1 mg/kg PO/IM直ちに鎮痛。重度疼痛にブトルファノール1-2 mg/kg IM。保温28-30°C、ハンドリング最小化。【X線】: 2方向(AP・側面)で骨折型・部位・転位を特定。【外固定(大部分のセキセイインコ脚骨折の第一選択)】: ボールバンデージ — ガーゼボールを足に保持、足根中足骨を自着性バンデージ(ベトラップ)で巻き脛足根骨まで延長。単純な足根中足骨骨折に有効。脛足根骨骨折にはロバートジョーンズ型バンデージ。シュレーダートーマス副木(小型インコ用に改良)は脛足根骨骨幹部骨折に。q3-5日でバンデージ交換、趾の圧迫壊死を確認(循環チェック — 趾が温暖でピンクであること)。【外科的固定(転位・開放・粉砕骨折)】: 適切なサイズの皮下注射針(セキセイインコには25-27G)で髄内ピン固定 — 逆行性テクニック推奨。複雑骨折には0.7-0.9 mmピンとアクリル連結棒の創外固定(ESF)。イソフルラン麻酔が必要。【開放骨折】: 滅菌生食で大量洗浄、汚染組織デブリードマン、エンロフロキサシン15 mg/kg PO/IM q12h 10-14日間。【術後】: 低止まり木とパッド床の小ケージで活動制限。食欲なければそ嚢チューブ給餌。X線再検を2・4・6週で — 鳥類骨は哺乳類より治癒が早い(2週で仮骨可視、3-6週で臨床的癒合)。4-6週でIMピン抜去。【MBD併存時】: Ca/ビタミンD3欠乏に対処(MBD治療参照)— 矯正なしでは病的骨折が再発。参考: Bennett RA & Kuzma AB (1992); Harcourt-Brown NH (2003). [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
安全な飼育環境の整備が最も基本的な予防策である。屋外アクセスの管理(リード使用・フェンス設置)、交通事故防止のための放し飼い制限、高所からの落下防止、他の動物との不適切な接触回避が含まれる。適切な運動管理により過度の負荷による損傷を予防する。環境エンリッチメントによるストレス関連行動(自傷・逃走)の軽減も重要な予防因子である。
予後
単純骨折で適切な固定を行えば一般に予後良好。開放骨折や複合的な軟部組織損傷を伴う場合は予後要注意。
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