翼骨折
概要
外傷による上腕骨、橈骨、尺骨の骨折で、翼の下垂と飛翔不能を引き起こす。
主な症状
原因
インコにおける翼骨折の原因: 外傷による上腕骨、橈骨、尺骨の骨折で、翼の下垂と飛翔不能を引き起こす。
病態生理
翼骨折はインコにおける外傷性・機械的疾患である。罹患組織の構造的耐性を超える外部機械的力により組織損傷が生じる。損傷は出血、浮腫、疼痛を伴う急性炎症カスケードを惹起する。重症度に応じて、血管供給の途絶による虚血、環境微生物による汚染、進行性の組織壊死が生じうる。治癒過程は止血、炎症、増殖、リモデリングの各段階を経る。
治療
セキセイインコの翼骨折 — 上腕骨、橈骨、尺骨が最も多く罹患。飛翔回復は骨折部位とアライメントに依存。【緊急】: メロキシカム0.5-1 mg/kg PO/IM鎮痛、重度疼痛にブトルファノール1-2 mg/kg IM。さらなる転位防止のため8の字バンデージまたはボディラップで翼を体に即座に固定。ハンドリング最小化。【X線】: 骨折形態の判定に2方向必須。【8の字翼ラップ(大部分の翼骨折の第一選択)】: 翼を自然な折り畳み位置で体に固定 — 肩・肘・手根関節を固定しアライメントを維持。自着性バンデージ(ベトラップ/コーバン)使用。呼吸を制限しない程度の強さ(呼吸を頻繁に確認 — 竜骨が自由に動くこと)。q3-5日で交換・X線再検。期間: 単純骨折で3-4週間。【骨折部位別管理】: 橈骨/尺骨(骨幹部中央): 8の字ラップで通常十分 — 対骨副子効果(無傷の骨が骨折骨を副子固定)。上腕骨: より困難 — 肩関節固定のため8の字ラップ+ボディラップ。転位した上腕骨骨折はイソフルラン麻酔下でIMピン固定(22-25G皮下注射針、逆行性テクニック)が必要な場合あり。【開放/複合骨折】: 滅菌生食で大量洗浄、デブリードマン、エンロフロキサシン15 mg/kg PO/IM q12h×10-14日間。可能なら創外固定で安定化。【重度粉砕または関節内骨折】: 翼切断が必要な場合あり — セキセイインコはペットとして片翼生活に良好に適応(飛翔不能だがQOL良好を維持)。近位上腕骨レベルで実施。【支持療法】: 保温28-30°C、小ケージで制限(治癒中の飛翔試行を防止)、食欲なければ強制給餌。活動を促す鏡や玩具を除去。【モニタリング】: X線を2・4週で — 2週で仮骨形成が予想される。記録された癒合後4-6週で飛翔リハビリ — 閉鎖された部屋で監視下の短距離飛行から開始。翼骨折後に完全な飛翔を回復しないセキセイインコもいる。参考: Helmer P & Redig PT (2006); Harcourt-Brown NH (2003). [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
翼骨折の予防には安全で種に適した飼育環境の整備、鋭利物・危険物の除去、適切な取り扱い技術、他の動物との接触時の監視、温度管理、落下防止策が含まれる。
予後
翼骨折の予後: 早期治療で多くは良好。定期モニタリングで管理可能。
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