卵塞
概要
形成された卵を排出できない状態で、カルシウム欠乏、肥満、卵管機能障害が原因の緊急疾患。
主な症状
原因
低Ca血症(最重要因子)、肥満、初産鳥、過大卵、卵管感染、低温環境。セキセイインコ・文鳥・カナリアに好発。
病態生理
卵が総排泄腔から排出不能→卵管内での卵の停滞→腹部膨満・怒責・食欲廃絶。持続すると卵管破裂→卵黄性腹膜炎→敗血症。低Ca血症(卵殻形成のCa消費)が子宮筋の収縮力低下の一因。
治療
セキセイインコの卵塞 — 繁殖活動中の雌の一般的な緊急疾患。特に初産鳥、肥満鳥、カルシウム不足のシード食鳥に多い。【即時安定化】: 温暖湿潤環境(30-32°C、湿度60-70%)— 温暖と加湿のみで多くの軽症例は4-6時間以内に解決。ハンドリングとストレスを最小化。【カルシウム療法(低Ca血症疑い時の第一選択 — 最多原因)】: グルコン酸カルシウム10%溶液50-100 mg/kg IMまたはSC(希釈)、または5-10 mg/kg IV心臓モニタリング下で5-10分かけて緩徐投与(徐脈=注入中止)。必要なら q6-8hで反復。Ca補正で子宮平滑筋の収縮力が回復することが多い。【オキシトシン】: プロスタグランジンE2ゲル(PGE2)を総排泄腔粘膜に塗布 — 平滑筋刺激の第一選択。オキシトシン3-5 IU/kg IM — Ca補正と十分な水和を確認した後のみ使用。Ca枯渇子宮へのオキシトシンは無秩序な収縮を引き起こし子宮破裂のリスク。最大2-3回 q30-60分。【用手抽出(4-6時間の内科管理不成功時)】: 卵穿刺(ovocentesis)— 麻酔下で18-22Gニードルにより総排泄腔経由で卵内容を吸引、その後殻を潰して断片を穏やかに除去。卵管/総排泄腔裂傷リスクのある指圧操作より推奨。卵が総排泄腔開口部に触知可能な場合のみ、潤滑剤(KYゼリー)で穏やかに指圧抽出。【外科】: 卵が異所性、卵管破裂、反復性卵塞ではイソフルラン麻酔下で卵管切開または卵管子宮摘出。【支持療法】: 加温SC輸液(LRSまたはNormosol-R)50-100 mL/kg/日、メロキシカム0.5-1 mg/kg PO/IM q12-24h、そ嚢チューブ給餌。【解消後】: デスロレリン4.7 mgインプラントSCで将来の排卵抑制。環境改善(暗期10-12時間、巣箱・鏡の除去)。長期的にカルシウム・ビタミンD3補充。再発モニタリング。参考: Joyner KL (1994) Avian Medicine: Principles and Application; Bowles HL (2002) Vet Clin North Am Exot Anim Pract.
予防
繁殖鳥のCa補充(カトルボーン・ミネラルブロック)。適切な温度管理。過剰産卵の制御(日照時間短縮・巣箱除去)。
予後
卵塞の予後: 早期治療で多くは良好。定期モニタリングで管理可能。
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