増殖性回腸炎(慢性型)
概要
ローソニア・イントラセルラリス感染の慢性型で、下痢の再発と進行性体重減少を伴います。
主な症状
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臨床徴候
ハムスターにおけるウェットテイル(増殖性回腸炎)の臨床徴候は消化管病変の部位と病態により異なる。上部消化管: 嘔吐・吐血・食欲不振。小腸: 下痢(小腸性: 量多・回数少・体重減少を伴う)・嘔吐・腹痛。大腸: 下痢(大腸性: 量少・回数多・粘液・血便・テネスムス)。急性腹症: 強い腹痛・嘔吐・ショック徴候・腹部触診で腫瘤や緊張感(GDV・腸捻転・腸閉塞)は緊急評価が必要。
原因
ハムスターにおけるウェットテイル(増殖性回腸炎)の原因は感染性、食事性、免疫介在性、機械的、機能的要因に分類される。感染性(細菌・ウイルス・寄生虫・原虫)、食事性(不適切な食材・異物・急激な食事変更・食物アレルギー)、免疫介在性(炎症性腸疾患IBD)、機械的(腸閉塞・腸捻転・腫瘍)、機能的(運動機能障害)が含まれる。草食動物では繊維質不足と急激な食餌変更が消化管うっ滞の主原因となり、種特異的な栄養要求の理解が重要。ストレス因子(環境変化・新規動物導入)も発症に寄与する。(ハムスターは低体温に脆弱、輸液は体温で温める)
病態生理
ウェットテイル(増殖性回腸炎)(ハムスター)はL. intracellularis感染→回腸の粘膜過形成→重度水様下痢(尾周囲の濡れ=wet tail)→脱水→急性死亡。発症後の進行が急速であり、24-48時間以内に致命的となりうる。積極的な輸液療法による脱水補正、抗菌薬(エンロフロキサシン等)投与、保温、経口電解質補給が救命の鍵となる。衛生管理の徹底が予防の基本である。
診断
若齢(3-8週齢)のハムスターに好発する致死率の高い疾患。水様性下痢・会陰部の湿潤汚染(wet tail)・嗜眠・食欲廃絶が特徴的臨床所見。糞便検査(直接鏡検・培養)でLawsonia intracellularisを考慮するが確定診断は困難。糞便PCR検査が最も感度が高い。CBC・生化学で脱水・電解質異常・低血糖を評価。腹部X線で腸管拡張・イレウスを確認。鑑別としてサルモネラ・クロストリジウム・コクシジウム・ジアルジアを除外。ストレス(輸送・環境変化)が主要な誘因
治療
【ハムスターにおける増殖性回腸炎(慢性型)】 増殖性回腸炎(慢性型)は培養感受性試験を診療指針とし、empiricalにはエンロフロキサシン 5-15 mg/kg PO/IM q12-24h またはアモキシシリン・クラブラン酸 12.5-25 mg/kg PO q12h(小型哺乳類除く)を開始。 膿瘍形成例は外科的切開・排膿・洗浄(生食または0.05%クロルヘキシジン)が抗菌薬単独より治癒率高い。 発熱・全身症状時は炎症マーカー(SAA、CRP)と血液培養。 再発リスクの高い症例ではバイオフィルム形成菌(Pseudomonas, Staphylococcus pseudintermedius MRSP)を疑い、長期抗菌薬を6-8週継続。 具体的な薬剤目安: Enrofloxacin 10 mg/kg PO、Chloramphenicol 50 mg/kg PO。 支持療法(小型哺乳類): 等張輸液 80-100 mL/kg/日 SC/IV、保温(26-28℃)、シリンジ給餌(Critical Care/Recovery 50-90 mL/kg/日を3-4回分割)、メロキシカム 0.5-1.0 mg/kg PO q12-24h で疼痛・炎症管理。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によってはハムスターの専門医紹介を考慮する。
予防
ハムスターにおけるウェットテイル(増殖性回腸炎)の予防は栄養管理と環境管理が中心。バランスの取れた高品質食、急激な食事変更回避、食物アレルゲンの特定と除去食。草食動物(ウサギ・モルモット・チンチラ・デグー): 高繊維チモシー乾草を給与量の80%以上、ペレット過剰摂取回避、新鮮野菜の段階的導入。異物誤食予防(玩具・包装材・植物の管理)。定期的駆虫、ストレス管理、適切なワクチネーション。
予後
疾患の重症度、治療開始の早さ、治療反応により異なる。早期の適切な治療介入で一般に予後改善。
関連する薬品
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