分離不安症
概要
飼い主との分離時の極度の苦痛で、破壊行動や鳴き声を引き起こします。
主な症状
原因
早期離乳・社会化不足、飼い主の生活パターンの急変(在宅勤務→出社)、転居、単頭飼育、保護犬の過去のトラウマ。疼痛・認知機能不全が根底にある場合もある。
病態生理
愛着対象(飼い主)との分離→HPA軸の過剰活性化→コルチゾール上昇→パニック様行動(破壊・鳴き声・排泄・自傷)。過覚醒状態→セロトニン系の調節障害。出発前の儀式的行動(鍵の音・靴を履く等)が条件刺激として不安を誘発。
治療
行動修正が治療の基本:出発手がかりへの系統的脱感作、反条件付け(出発前の手がかりに高価値の報酬を対提示)。飼い主の出発・帰宅の儀式を最小化。安全な空間の提供(クレートトレーニング — 閉じ込めパニックの犬は禁忌)。薬物療法:フルオキセチン(1-2 mg/kg PO q24h — 犬の分離不安にFDA承認薬Reconcile、効果発現4-8週; Landsberg 2008)。クロミプラミン(1-3 mg/kg PO q12h — FDA承認薬Clomicalm; Simpson 2000)。トラゾドン(3-5 mg/kg PO PRN)急性時の頓用。補助療法:DAP(Adaptil)フェロモンディフューザー、Zylkene(α-カソゼピン)、メラトニン。環境整備:知育玩具(Kong、Lickimat)、ホワイトノイズ。予後:行動修正+薬物療法の併用で良好(70-80%改善; Overall 2013)。薬物療法のみでは効果限定的。参考文献: Landsberg GM et al. JAVMA 2008; Simpson BS et al. JAVMA 2000; AVSAB分離不安ポジションステートメント2014; Overall KL. Manual of Clinical Behavioral Medicine 2013.【サプリメント】CBD(カンナビジオール)2 mg/kg PO q12h(不安軽減の補助療法。McGrath et al. 2019: てんかん犬でのCBD安全性確認。Morris et al. 2020: 行動への予備的エビデンス。肝酵素モニタリング推奨)。L-テアニン(Anxitane)5-10 mg/kg PO q12h(GABA様作用による鎮静化)。αカソゼピン(Zylkene)15 mg/kg PO q24h(カゼイン由来デカペプチド、ベンゾジアゼピン様の不安軽減)。Adaptil(DAP犬用フェロモン)カラーまたはディフューザー。omega-3 DHA/EPA(神経保護・抗炎症)。L-トリプトファン(セロトニン前駆体)。Solliquin(L-テアニン+αカソゼピン+ホエイプロテイン配合)。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • Relax & CBD (フルスペクトラムCBD): 慢性疼痛・不安・難治性てんかん・緩和ケア ※Relax & CBD: 肝代謝(CYP450)薬物相互作用に注意
予防
子犬期からの段階的な一人時間の訓練、出発/帰宅時の過度な挨拶の回避、安心できる場所(クレート)の確保、環境エンリッチメント(知育玩具・Kong)。
予後
予後は疾患の種類、重症度、診断時期、治療への反応性、個体の全身状態により異なる。早期発見と適切な治療介入により多くの疾患で良好な転帰が期待できる。慢性疾患では長期的な管理計画の策定と飼い主のコンプライアンスが予後に大きく影響する。定期的な経過観察と治療計画の再評価が最適な治療成績の達成に不可欠である。合併症の予防と生活の質の維持が長期管理の目標である。
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