脳炎(ウイルス性)
概要
脳のウイルス性炎症で、重度の神経症状を引き起こします。有袋類ではしばしば致死的です。
主な症状
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臨床徴候
フクロモモンガにおける脳炎の臨床徴候は罹患部位(前脳・脳幹・小脳・脊髄・末梢神経)により局在化所見を示す。前脳: 発作・行動変化・盲目・周徊・運動失調。脳幹: 脳神経障害・運動失調・意識障害。小脳: 企図振戦・低測定運動失調・広基歩行。脊髄: 四肢麻痺/対麻痺・排尿障害・反射異常(病変高位で異なる)。末梢神経: 筋萎縮・反射低下・遠位部優位の弛緩性麻痺。
原因
フクロモモンガにおける脳炎の原因は多岐にわたり、感染性(脳炎・髄膜炎)、免疫介在性、変性性、腫瘍性、外傷性、血管性、代謝性、毒性、遺伝性、特発性(特発性てんかん)に分類される。急性発症は外傷・血管障害・中毒を、慢性進行性は変性・腫瘍・代謝性を、再発性発作は特発性てんかんを示唆する。
病態生理
フクロモモンガにおける脳炎の病態生理は中枢・末梢神経または神経筋接合部の機能/構造障害により神経伝達が破綻する。占拠性・圧迫性病変(椎間板ヘルニア・腫瘍・水頭症)では実質圧迫→局所虚血・浮腫→神経機能脱落を生じる。炎症性・感染性病変(髄膜脳炎)ではサイトカイン放出・血液脳関門破綻により神経細胞傷害が進行する。発作性疾患(てんかん)では神経細胞の過剰同期性発火により痙攣を反復し、重積は不可逆的神経傷害を招く。前庭・小脳病変では平衡・協調運動障害を、脊髄病変では病変部以下の運動・感覚・自律神経障害を呈する。
診断
神経学的評価:意識レベル・瞳孔反応・脳神経検査・姿勢反応・歩行評価。MRI/CT(設備があれば)で脳実質の炎症性病変(造影増強・浮腫)を確認。CSF分析(細胞数増多・蛋白上昇・培養・PCR)が確定的だが微小体格での採取は高リスク。血清学的検査で感染性病原体(Toxoplasma・Baylisascaris等)をスクリーニング。CBC・血液生化学で全身性炎症を評価。フクロモモンガは原虫性脳炎のリスクがあり、食餌中の昆虫からの感染経路も考慮
治療
【フクロモモンガにおける脳炎(ウイルス性)】 脳炎(ウイルス性)は培養感受性試験を診療指針とし、empiricalにはエンロフロキサシン 5-15 mg/kg PO/IM q12-24h またはアモキシシリン・クラブラン酸 12.5-25 mg/kg PO q12h(小型哺乳類除く)を開始。 膿瘍形成例は外科的切開・排膿・洗浄(生食または0.05%クロルヘキシジン)が抗菌薬単独より治癒率高い。 発熱・全身症状時は炎症マーカー(SAA、CRP)と血液培養。 再発リスクの高い症例ではバイオフィルム形成菌(Pseudomonas, Staphylococcus pseudintermedius MRSP)を疑い、長期抗菌薬を6-8週継続。 支持療法(小型哺乳類): 等張輸液 80-100 mL/kg/日 SC/IV、保温(26-28℃)、シリンジ給餌(Critical Care/Recovery 50-90 mL/kg/日を3-4回分割)、メロキシカム 0.5-1.0 mg/kg PO q12-24h で疼痛・炎症管理。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によってはフクロモモンガの専門医紹介を考慮する。
予防
フクロモモンガにおける脳炎の予防は原因病態によって異なる。感染性脳炎: 適切なワクチネーション(特に狂犬病・ジステンパー・FIP予防)と媒介動物制御。特発性てんかん: 遺伝性素因品種の繁殖管理。認知機能不全症候群: 知的刺激の提供、適度な運動、抗酸化サプリメント、SAMe等の補完療法。外傷性脳脊髄損傷: 交通事故・落下事故予防、適切な飼育環境。中毒予防: 環境管理。
予後
ウイルスの種類と宿主免疫により異なる。軽症感染は支持療法で自然治癒することが多い。重症全身性ウイルス感染は予後要注意〜不良。
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