排卵前卵胞停滞
概要
カメレオンやフトアゴヒゲトカゲに多い卵巣卵胞が排卵されない状態です。
主な症状
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臨床徴候
トカゲにおける排卵前卵胞停滞の臨床徴候はホルモン異常または代謝障害の種類により特異的パターンを示す。糖尿病: 多飲多尿・多食・体重減少。甲状腺機能亢進: 体重減少・多食・多動・心拍数上昇。クッシング症候群: 腹部膨満・脱毛・多飲多尿・薄い皮膚。アジソン病: 元気消失・嘔吐・下痢・電解質異常。低血糖: 振戦・痙攣・意識低下。早期は無症候性に進行することが多く、定期的内分泌スクリーニングが早期発見の鍵。
原因
トカゲにおける排卵前卵胞停滞の原因:ホルモン異常(視床下部GnRH不足、卵巣機能不全、LH分泌低下)。環境:光周期不足(<10-12時間、種による)、温度サイクル不適切、雄の不在/交配刺激不足。栄養:カルシウム欠乏、ビタミンA欠乏、不良な体況。全身疾患:肥満、肝疾患、腎機能不全、慢性疾患。
病態生理
排卵前卵胞停滞は視床下部-下垂体-卵巣軸(HPO軸)が卵胞破裂/排卵に必要な周期的GnRH/LH分泌を生じない病態。卵胞は卵巣組織内に残留し進行性に卵黄(脂質)が蓄積→サイズ増大。卵胞自家溶解(atresia)が生じるか、卵胞が無期限に停滞。大型卵胞は隣接組織を圧迫→腹部膨満。慢性的な自家溶解卵胞の卵黄吸収で腹膜炎/体腔炎。重度/慢性例では卵胞内カルシウムシークエスター化で低カルシウム血症。
診断
排卵前卵胞うっ滞の診断は、超音波検査で卵巣内の成熟卵胞が排卵されず長期間残存する所見を確認する。正常では卵胞は成熟後に排卵されるが、うっ滞では複数の大型卵胞が2-4週以上卵巣内に停滞する。血液検査で高Ca血症(卵黄蛋白産生による生理的上昇の持続)と肝酵素上昇を確認する。X線検査では石灰化殻がないため描出困難であり、超音波が診断の主軸である。カメレオン・イグアナに好発し、環境ストレスや栄養不良が誘因となる。
治療
トカゲにおける排卵前卵胞停滞の治療:環境管理:光周期延長(12-14時間/日、種による。フトアゴは夏場14時間推奨)、温度サイクル確立(日中/夜間3-5℃差)、産卵床材確保。医学的介入:GnRHアゴニスト(リュープロレリン0.05-0.1 mg/kg IM)またはhCG 500-1000 IU/kg IM で排卵刺激(卵胞が生存している場合)。支持療法:輸液(脱水時 50-100 mL/kg/日)、鎮痛(メロキシカム0.1-0.2 mg/kg IM q48h)、低カルシウム血症時にグルコン酸カルシウム 50-100 mg/kg IV/IC、ビタミンA補充 4,000-10,000 IU/kg、ビタミンE 50-200 IU/kg。外科:卵胞が自家溶解/医学的管理無反応、持続的な体腔炎、再発性停滞時に卵巣卵管摘出。術後:長期環境最適化、体重管理、種別繁殖季節シミュレーション。
予防
排卵前卵胞停滞の予防:適切な光周期(12-14時間/日、種による。フトアゴは夏場14時間)、温度サイクル(日中/夜間3-5℃差)、適切な産卵環境と基質、バランスカルシウム食(Ca:P 1.5-2:1)、定期的な体重監視、肥満回避、季節的繁殖休止期、定期獣医診察。種別の環境エンリッチメント・交配刺激でstasis発症率低減。
予後
排卵前卵胞停滞の予後:早期の環境改善と医学的管理で予後良好。卵巣卵管摘出で永続的解決だが繁殖不可。環境是正と卵胞生存時、排卵誘発療法(GnRHアゴニスト、hCG)で60-75%成功。慢性/重度stasis with atretic follicles・体腔炎では予後慎重。
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