甲状腺腫
概要
鳥における栄養性の内分泌/代謝疾患。甲状腺腫は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
鳥におけるヨウ素欠乏症(甲状腺過形成)の臨床徴候は欠乏または過剰の栄養素により特異的パターンを示す。カルシウム不足: 骨軟化・病的骨折・痙攣・成長不良。ビタミンA不足: 眼疾患・皮膚角化異常・夜盲・繁殖障害。ビタミンC不足(モルモット): 関節腫脹・出血傾向・歯周病・成長不良。タンパク質-エネルギー欠乏: 削痩・筋萎縮・低アルブミン血症・浮腫。ビタミンD/UV-B不足(爬虫類): 代謝性骨疾患・骨軟化。
原因
鳥の甲状腺腫(ヨウ素欠乏症)は、ヨウ素の乏しい食餌やゴイトロゲン(キャベツ類・大豆等)の過剰摂取による甲状腺ホルモン合成障害による。
病態生理
ヨウ素欠乏症(甲状腺過形成)(鳥)は食餌中のヨウ素不足による甲状腺過形成。セキセイインコで最も多い内分泌疾患。過形成した甲状腺が気管・食道・頸静脈を圧迫し、呼吸困難(特に吸気時喘鳴)、嚥下障害、吐出を引き起こす。種子食のみの飼養が最大のリスク因子。ヨウ素製剤(ルゴール液)の飲水添加または注射投与で著明に改善するが、再発防止にはペレット食への移行が必須。
診断
頸部の視診・触診(甲状腺腫大:正常では触知不能な甲状腺が頸部気管周囲に腫瘤として触知)。X線検査(頸部気管周囲の軟部組織腫瘤影・気管圧迫・偏位)。CBC・生化学。鳥類の甲状腺は頸部に左右一対存在し、ヨウ素欠乏により過形成性甲状腺腫を形成する。セキセイインコで最も好発。甲状腺腫は気管を圧迫し、特徴的な呼吸困難(吸気性喘鳴・チアノーゼ)と吐き戻しを引き起こす。食餌歴(種子食偏食・ヨウ素補給の有無)の聴取が診断の鍵。
治療
甲状腺腫の治療: ヨウ素補充が主要治療 — ルゴール液を飲料水250mLに1滴、またはヨウ化ナトリウム0.5mg/kg PO 1日1回。気管圧迫による急性呼吸困難時: 酸素投与、デキサメタゾン2-4mg/kg IM単回(腫脹軽減)、重度浮腫にはフロセミド。種子食のみの食事からヨウ素含有量が適切なペレット食への転換。血液検査で甲状腺機能低下が確認された場合はレボチロキシン(T4)0.02mg/kg PO q12h。支持療法: 保温28-30℃、脱水があればSC輸液。多くの症例はヨウ素補充で2-4週間以内に改善。X線で甲状腺サイズをモニタリング。持続的な気管圧迫を伴う重症例は外科的縮小術を検討。
予防
鳥における甲状腺腫の予防には、ホルモン依存性腫瘍に対する早期避妊去勢手術(乳腺腫瘍・前立腺癌・精巣腫瘍・子宮腺癌・肛門腺癌等)が確立された予防策。発癌性物質への曝露回避(タバコの煙・農薬・タール・特定の合成樹脂)、適正体重維持、抗酸化物質を含むバランスの取れた食事、紫外線過剰曝露の回避が予防に寄与する。定期的健康診断(触診・画像診断・血液検査)による早期発見が最も実効性ある予防策。発癌性ウイルス予防(FeLV ワクチン)も重要。
予後
鳥における甲状腺腫の多くは原因栄養素不均衡の是正により良好予後。早期に適切な食事矯正とサプリメント補充開始で多くの臨床症状は可逆的。急性ビタミンC欠乏(モルモット壊血病)は補給開始後24-48時間で臨床改善開始。代謝性骨疾患(MBD): 早期介入で進行抑制可能だが、骨格異常の完全回復は困難。重度の慢性栄養失調による発達異常・臓器障害は不可逆的な場合あり。飼育者教育による再発防止が長期予後の鍵。
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