腎盂腎炎
概要
下部尿路疾患からの上行性腎臓細菌感染です。
主な症状
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臨床徴候
ハリネズミにおける腎盂腎炎の臨床徴候は病態と進行段階により異なる。慢性腎臓病: 多飲多尿・体重減少・食欲不振・嘔吐・口臭・脱水(早期は無症候)。急性腎障害: 無尿/乏尿・嘔吐・元気消失・電解質異常。下部尿路疾患(FLUTD/FIC): 頻尿・排尿困難・血尿・排尿時痛・不適切排尿、雄では尿閉(緊急)。尿路感染: 頻尿・血尿・濁尿・発熱(腎盂腎炎時)。
原因
ハリネズミにおける腎盂腎炎の原因: 下部尿路疾患からの上行性腎臓細菌感染です。
病態生理
ハリネズミにおける腎盂腎炎の病態生理はネフロン進行性喪失または尿路機能障害により展開する。CKD: 機能ネフロン減少→残存ネフロン過剰負荷→糸球体高血圧・蛋白尿→更なるネフロン傷害という悪循環を形成する。二次性に高リン血症、二次性副甲状腺機能亢進症、貧血(エリスロポエチン低下)、全身性高血圧、尿毒症性中毒物質蓄積が起こる。FLUTD/FIC: 神経内分泌系の慢性ストレス応答が膀胱壁神経炎症・透過性亢進を引き起こし、自発的疼痛・排尿異常を生じる。
診断
腎盂腎炎の診断は、多飲多尿・食欲低下・嗜眠・発熱・腰部痛を呈するハリネズミで疑う。腎疾患はハリネズミで比較的多い。イソフルラン鎮静下で採血・尿採取を行う。血液検査でBUN・クレアチニン上昇・白血球増多を確認する。尿検査で膿尿・細菌尿・蛋白尿を認め、尿培養感受性試験で起因菌を同定する。超音波検査で腎盂拡張・腎臓のエコー輝度変化を評価する。間質性腎炎・腎アミロイドーシス・腎結石・腎腫瘍との鑑別が必要であり、慢性例では腎生検も考慮する。
治療
診断: 尿沈渣付き尿検査(膿尿、細菌尿、白血球円柱 — 円柱は腎由来を示す)、尿培養感受性試験(汚染のないサンプルのため膀胱穿刺推奨 — ハリネズミではイソフルラン短時間鎮静下で超音波ガイド下に実施)、CBC(左方移動を伴う白血球増多)、生化学パネル(BUN、クレアチニン — 腎障害の評価)、腎臓超音波(腎盂拡張、腎実質高エコー輝度、腎周囲液)。抗菌薬療法: 培養結果待ちの経験的投与 — エンロフロキサシン5-10 mg/kg PO q12h(良好な腎組織浸透性)またはトリメトプリム・スルファメトキサゾール30 mg/kg PO q12h。培養結果に基づき調整。最低治療期間: 腎盂腎炎には4-6週間(単純性膀胱炎の典型的な7-10日間ではない — 上部尿路感染症は再発と慢性感染を防ぐために長期療法が必要)。支持療法: 積極的輸液療法(加温SC LRS 20-30 mL/kg/日)で腎灌流維持と細菌クリアランス促進、メロキシカム0.2 mg/kg PO/SC q24h 鎮痛・抗炎症(高窒素血症がある場合は慎重に — 減量またはトラマドール2-5 mg/kg PO q8-12hに切替)、温度24-28℃維持、高品質昆虫食ベースフードでの栄養サポート。尿路結石併発時: 結石への対処(持続感染の巣となる可能性)。モニタリング: 1週目に尿検査・培養を反復(細菌クリアランス確認)、2週目、抗菌薬終了1週間後(治癒確認)。腎数値(BUN/クレアチニン)を2週・4週に確認。難治性または再発性の場合: 腎膿瘍を検討(超音波 — 長期抗菌薬または片側性なら腎摘出が必要な場合あり)。参考文献: Carpenter (2018); Ivey & Carpenter (2012)。
予防
下部尿路感染症(膀胱炎)の迅速な治療で上行性感染を予防。十分な水分摂取(ウォーターボトル + 水皿、ウェットフード)。排泄物による尿路汚染軽減のため清潔な寝具。定期健診時の尿検査。素因となる疾患(尿路結石症、糖尿病)の管理。
予後
急性非合併性腎盂腎炎: 適切な長期抗菌薬療法(4-6週間)と支持療法で予後良好。慢性/再発性腎盂腎炎: やや良好 — 進行性の腎瘢痕化とCKDに至る可能性。腎膿瘍併発の腎盂腎炎: 予後要注意 — 腎摘出が必要な場合あり。両側性で高窒素血症: 予後不良。治療後のモニタリングが不可欠 — 抗菌薬の早期中止で再発率が高い。
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