マダニ寄生
概要
野生や屋外飼育のハリネズミに多いマダニの寄生で、疾病を媒介することがあります。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示すハリネズミの他の疾患を確認できます
臨床徴候
ハリネズミにおけるダニ寄生の臨床徴候は寄生虫種・寄生部位・寄生数により異なる。消化管寄生では下痢・嘔吐・体重減少・腹部膨満、外部寄生では掻痒・脱毛・皮膚炎、心血管寄生では咳・運動不耐性・腹水、血液寄生では貧血・発熱・元気消失を呈する。幼若・栄養不良個体では重症化しやすく、慢性経過では発育不良が顕著となる。
原因
皮膚組織に感染する寄生虫が原因。感染期(卵・オーシスト・幼虫)の経口摂取・直接接触・ベクター・経皮侵入で伝播。不衛生・屋外曝露・免疫抑制・ストレスが素因。ハリネズミの食性が特定の寄生虫生活環への曝露を増加させうる。
病態生理
寄生虫は経口摂取・皮膚穿通・ベクター媒介によりハリネズミの皮膚組織に感染を確立する。寄生体は直接的な機械的損傷・栄養競合・免疫病理学的反応を通じて宿主組織を損傷する。寄生体段階の周囲に好酸球性・肉芽腫性炎症が発生する。慢性感染は組織線維化と臓器機能障害に至る。
診断
イソフルラン鎮静下で丸まりを解除し、針間・耳介周囲・四肢のダニ(マダニ)付着を確認。マダニの種同定(Ixodes hexagonus等)。CBC・血液生化学で多数寄生時の貧血を評価。ダニ媒介感染症のスクリーニング:Borrelia burgdorferi抗体検査、Anaplasma/Ehrlichia PCR。付着部位の皮膚を観察しダニ咬傷後の肉芽腫形成・二次感染を評価。針の細胞診で付着部周囲の炎症反応を確認。マダニ除去はヘモスタットで口器を残さず抜去
治療
マダニの手動除去: 先細ピンセットまたはマダニ除去ツールで皮膚にできるだけ近い位置を把持し、ねじらずに一定の力で引き抜く(ねじると口器が残る可能性)。口器が残った場合はそのままに — 体が被包化して排出する。重度寄生: イソフルラン鎮静(マスク/チャンバー)下で徹底的な検査・除去 — ハリネズミは防御的に丸まるため、鎮静なしでは棘間のマダニへのアクセスが非常に困難。局所殺ダニ薬: イミダクロプリド10%スポットオン(アドバンテージ)0.1 mLを棘間の背部皮膚に塗布 — 安全かつ有効。代替: セラメクチン(レボリューション)6-18 mg/kg 局所1回、2-4週後に反復。フィプロニル: ハリネズミでは極めて慎重に使用 — 毒性(痙攣、死亡)の報告あり、多くのエキゾチック獣医は使用を避ける。イベルメクチン0.2-0.4 mg/kg SC 1回、環境からの再感染に対し10-14日後に反復。マダニ媒介疾患の確認: CBC(貧血、血小板減少症)、血液塗抹(ボレリア、アナプラズマ、バベシア — 地域依存)。貧血がある場合(PCV<25%): 鉄剤補給、栄養サポート、加温皮下輸液。環境除染: 寝具を60℃以上で洗濯、床材交換、ケージにペルメトリンスプレー散布(ハリネズミを移動させ、完全乾燥後に戻す)。参考文献: Ivey & Carpenter (2012); Johnson-Delaney (2006)。
予防
定期的な身体検査 — 日常的な取り扱い時に棘間を観察(夜行性活動期が容易)。マダニ流行地域では特に草地・庭への屋外曝露を制限。マダニシーズン中はセラメクチン(レボリューション)6-18 mg/kg 月1回局所投与で予防。同居動物全てを処置。フィプロニル製剤は使用しない。環境管理: ケージを屋内に配置、定期的な床材交換。
予後
迅速な手動除去と適切な殺ダニ薬処置で予後良好。重度寄生は二次性貧血を引き起こし支持療法が必要な場合あり。マダニ媒介疾患の伝播が主な懸念 — 除去後2-4週間は元気消失・食欲不振・血小板減少症を監視。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
その他の他の疾患(ハリネズミ)
VetDictでハリネズミの鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。