鳥アデノウイルス感染症
概要
アデノウイルスによる肝炎、腸炎、呼吸器疾患を引き起こす。
主な症状
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臨床徴候
鳥におけるアデノウイルス感染の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
鳥に感染するアデノウイルスによる。糞口・呼吸器を介して伝播する。
病態生理
鳥のアデノウイルス感染は種特異的な複数のアデノウイルスによる疾患群。主要なもの:(1) Fowl adenovirus(鶏の封入体肝炎/IBH、卵落下症候群/EDS-76)、(2) ハトのAdenovirus hepatitis、(3) オウム目のPsittacine adenovirus(肝炎)。肝臓の核内好塩基性封入体→肝細胞壊死→肝不全が共通病態。幼鳥で致死率が高い (Hess L et al. Avian Dis 2004;48:595-604)。
診断
肝壊死・膵壊死・消化管出血等の種特異的臨床像を評価。クロアカルスワブ・肝組織のPCRでAvian Adenovirus DNAを検出。CBC(採血量≤体重の1%)でリンパ球減少(免疫抑制)・ヘテロフィル変動を確認。血液生化学でAST著増(>800 IU/L)・LDH上昇・胆汁酸上昇(肝壊死)を評価。X線で肝腫大・脾腫を検索。剖検例で肝臓の病理組織検査を実施し、肝細胞核内の好塩基性封入体(Cowdry B型)を確認。電子顕微鏡で正20面体ウイルス粒子を同定。ウイルス分離はCEL細胞で実施
治療
【鳥における鳥アデノウイルス感染症】 鳥アデノウイルス感染症は培養感受性試験を診療指針とし、empiricalにはエンロフロキサシン 5-15 mg/kg PO/IM q12-24h またはアモキシシリン・クラブラン酸 12.5-25 mg/kg PO q12h(小型哺乳類除く)を開始。 膿瘍形成例は外科的切開・排膿・洗浄(生食または0.05%クロルヘキシジン)が抗菌薬単独より治癒率高い。 発熱・全身症状時は炎症マーカー(SAA、CRP)と血液培養。 再発リスクの高い症例ではバイオフィルム形成菌(Pseudomonas, Staphylococcus pseudintermedius MRSP)を疑い、長期抗菌薬を6-8週継続。 具体的な薬剤目安: Enrofloxacin 15 mg/kg IM。 支持療法(鳥類): 保温28-30℃(重症は30-32℃)、皮下/骨内輸液 50-100 mL/kg/日 (温乳酸リンゲルまたはノルモソルR)、強制給餌(Emeraid Omnivore/Carnivoreなど 20-30 mL/kg q4-6h)、酸素分圧40%以下を維持しつつ呼吸補助。 【鑑別と経過観察】類似症候を呈する疾患の除外と、治療4-8週後の再評価が予後改善の鍵。重症度・併発症によっては鳥の専門医紹介を考慮する。
予防
鳥におけるアデノウイルス感染の予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
適切な抗菌薬療法と感染源制御で予後良好。慢性または深部感染は長期管理が必要。免疫不全の個体はより予後要注意。
関連する薬品
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