マイコバクテリア症(カメ結核)
概要
リクガメにおける細菌性の多臓器/全身疾患。マイコバクテリウム症は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
リクガメにおけるマイコバクテリウム症の臨床徴候は感染部位と病原体特性により多様だが、共通所見として発熱・元気消失・食欲不振・体重減少が認められる。局所感染では発赤・腫脹・疼痛・排膿を、全身感染では脱水・敗血症・多臓器不全に進展しうる。幼若・高齢・免疫抑制状態は重症化リスクが高く、早期介入が予後改善に直結する。
原因
リクガメの非結核性(非定型)マイコバクテリア症は環境中の抗酸菌(迅速発育菌等)による。土壌・水中の菌が創傷・皮下脂肪組織に感染して発症する。
病態生理
抗酸菌は皮下・脂肪組織で肉芽腫性・化膿性の慢性炎症を起こし、難治性の結節・瘻管・パニクリティスを形成する。菌の脂質壁のため長期の多剤併用を要する。
診断
病変部(皮膚結節・肉芽腫)の抗酸菌染色(Ziehl-Neelsen)で抗酸菌体を検出。培養(Löwenstein-Jensen培地・液体培養、4-12週間)で菌種同定。PCR(16S rRNA・hsp65遺伝子)による迅速な分子同定が推奨。皮膚生検・病理で多核巨細胞を伴う肉芽腫性炎症を確認。CBC(単球増加→慢性肉芽腫性炎症)、血液生化学(低アルブミン→慢性消耗)。X線・CTで内臓肉芽腫を評価。人獣共通感染リスクの評価が必須。
治療
リクガメマイコバクテリウム症(M. marinum, M. chelonae, M. fortuitum等の非結核性抗酸菌が多い): ① 治療は試験的で長期: リファンピシン 10-30 mg/kg PO q24h + クラリスロマイシン 30 mg/kg PO q24h + エンロフロキサシン 5-10 mg/kg PO q24h、6-12ヶ月以上。② 皮下・皮膚結節は外科的切除を推奨(抗菌薬の浸透性が悪い)。③ POTZ最適化(免疫機能の前提)。④ ⚠ M. marinum はヒト皮膚感染(fish tank granuloma)—飼養者の手洗い・防護必須。支持療法(爬虫類): 種別POTZ(preferred optimum temperature zone)維持が免疫機能回復の前提条件。輸液 25-30 mL/kg/日 SC/ICe(ノルモソルR、温熱)、強制給餌(Carnivore Care 等)、メロキシカム 0.2-0.5 mg/kg PO/IM q24-48h(NSAID持続投与時は腎機能をモニタ)。
予防
リクガメにおけるマイコバクテリウム症の予防は適切なワクチネーションプログラムの実施が中核である(利用可能な場合)。衛生的飼育環境の維持、新規導入動物の検疫期間設定(最低14日、感染症によっては60日以上)、過密飼育の回避、適切な栄養管理による免疫力維持、ストレス軽減が重要。感染動物との接触回避、汚染器具・環境の消毒(次亜塩素酸・アルコール系・第四級アンモニウム製剤を病原体に応じて選択)を徹底する。定期的健康診断による早期発見と治療が蔓延防止に寄与する。
予後
リクガメにおけるマイコバクテリウム症の予後は病原体の毒力・宿主免疫状態・治療開始時期・基礎疾患の有無により大きく異なる。早期診断と適切な抗病原体療法・支持療法により多くの感染症は良好な予後となる。宿主の免疫抑制・若齢・高齢・多臓器不全併発例は予後不良となりうる。再発・慢性化・薬剤耐性発現も予後に影響する重要因子である。
関連する薬品
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