眼球突出
概要
後眼窩膿瘍、腫瘍、外傷による眼球の眼窩からの前方変位です。
主な症状
原因
外力(落下、衝突、圧迫、咬傷、鋭利物による切創)による組織の物理的損傷が直接的原因である。不適切な飼育環境(狭小・過度に高い構造物、鋭利な突起物、滑りやすい床面)、他動物との闘争、不注意な取り扱い、逃走時の事故が受傷の主要な状況として挙げられる。幼若動物や骨密度低下状態の個体では損傷が重症化しやすい。
病態生理
外傷の病態生理は機械的エネルギーによる直接的な組織破壊から始まる。血管損傷により出血と血腫が形成され、組織虚血が進行する。損傷組織からDAMPs(損傷関連分子パターン)が放出され、自然免疫系を活性化して急性炎症反応を惹起する。重度の外傷では全身性炎症反応(SIRS)、凝固障害(外傷性凝固障害)、虚血再灌流障害が多臓器不���の引き金となる。
治療
緊急: 滅菌生理食塩水または人工涙液(ヒアルロン酸ベース)で眼球を5-10分毎に湿潤維持(治療まで)。眼球が生存可能な場合(対光反射あり、眼球破裂なし): ミダゾラム 0.5-1mg/kg IM + ブプレノルフィン 0.03-0.05mg/kg SCで鎮静、眼球を眼瞼縁後方に穏やかに整復、一時的眼瞼縫合(水平マットレス縫合2-3針、14-21日間留置)。点眼: トリプル抗菌眼軟膏 q6-8h、アトロピン1%点眼 q12-24h(散瞳、鎮痛)。全身抗菌薬: エンロフロキサシン 5-15mg/kg PO/SC q12h(経口βラクタム系は絶対禁忌)。全身鎮痛: メロキシカム 0.3-0.5mg/kg PO/SC q24h。自傷防止のエリザベスカラー。後眼窩膿瘍時: エコーガイド下排膿または外科的探索、培養感受性試験。眼球が非生存(破裂、剥離、PLRなし): イソフルラン麻酔下で眼球摘出術。摘出後: エンロフロキサシン 5-15mg/kg SC q12h、ブプレノルフィン 0.03-0.05mg/kg SC q8-12h 3-5日間。基礎原因の調査: 歯科疾患(臼歯歯根過長がチンチラの後眼窩膿瘍の一般的原因)、頭蓋レントゲン推奨。 [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • MSM+アミノコンプリート (MSM+必須アミノ酸(BCAA中心)): 組織修復・筋肉維持・肝腎栄養サポート ※MSM+アミノコンプリート: 重度肝・腎不全は蛋白負荷に留意
予防
安全な飼育環境の整備が最も基本的な予防策である。屋外アクセスの管理(リード使用・フェンス設置)、交通事故防止のための放し飼い制限、高所からの落下防止、他の動物との不適切な接触回避が含まれる。適切な運動管理により過度の負荷による損傷を予防する。環境エンリッチメントによるストレス関連行動(自傷・逃走)の軽減も重要な予防因子である。
予後
疾患の重症度、治療開始の早さ、治療反応により異なる。早期の適切な治療介入で一般に予後改善。
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