カパリニアダニ症(重症型)
概要
ハリネズミにおける寄生虫性の皮膚疾患。カパリニアダニ症は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
ハリネズミにおけるカパリニアダニ症(重症型)の臨床徴候は寄生虫種・寄生部位・寄生数により異なる。消化管寄生では下痢・嘔吐・体重減少・腹部膨満、外部寄生では掻痒・脱毛・皮膚炎、心血管寄生では咳・運動不耐性・腹水、血液寄生では貧血・発熱・元気消失を呈する。幼若・栄養不良個体では重症化しやすく、慢性経過では発育不良が顕著となる。
原因
ハリネズミにおけるカパリニアダニ症(重症型)の原因: カパリニア・トリピリスの重度寄生で、広範な針の脱落、厚い痂皮、二次細菌感染を引き起こします。
病態生理
疥癬類は表皮内に穿孔してアレルギー性の激しい掻痒・痂皮・脱毛を、毛包虫は毛包内で増殖して膿皮症を伴う脱毛を、耳ダニは外耳道で耳垢増生・外耳炎を起こす。掻破による二次感染を伴いやすい。
診断
重症カパリニアダニ症の診断は、大量の針脱落・痂皮形成・激しい掻痒・皮膚肥厚を認めるハリネズミで行う。イソフルラン鎮静下で丸まりを解除し、針基部の皮膚掻爬検査で虫体・虫卵を確認する。軽症例では針間に白色粉状のダニが肉眼的に観察できることもある。重症例では二次的細菌感染による膿皮症を併発することが多く、皮膚培養も実施する。WHS(ウォブリーヘッジホッグ症候群)との鑑別として神経学的検査も行い、免疫抑制の基礎疾患を検索する。
治療
重症カパリニア・トリピリス寄生は積極的な多面的治療を要する。診断確認: 罹患部(棘の基部、痂皮辺縁)からの深部皮膚掻爬 — C. tripilistダニは大型で低倍率顕微鏡で容易に同定可能。第一選択殺ダニ薬: イベルメクチン0.2-0.4 mg/kg SC、10-14日間隔で最低3-4回反復(ダニ生活環を断つために不可欠 — 卵は単回治療に抵抗性)。代替: セラメクチン(レボリューション)6-18 mg/kg局所、2-4週間隔で3回反復。重度の痂皮形成に対して: 温水浸漬(28-30℃)15-20分間で厚い痂皮を軟化・愛護的除去してから殺ダニ薬塗布 — 薬剤浸透を改善。柔らかい歯ブラシで棘間の軟化した痂皮を愛護的にデブリードマン。付着した痂皮の強制除去は不可(出血・疼痛・二次感染リスク)。二次細菌感染(重症例で非常に多い): アモキシシリン・クラブラン酸12.5-25 mg/kg PO q12h 10-14日間、またはエンロフロキサシン5-10 mg/kg PO q12h。表在性膿皮症にはクロルヘキシジン0.05%外用リンス。抗炎症/掻痒管理: メロキシカム0.2 mg/kg PO/SC q24h。メロキシカムに不応の重度掻痒: プレドニゾロン0.5-1.0 mg/kg PO q24h 3-5日間の短期投与(長期コルチコステロイドは免疫抑制でダニ負荷を悪化させるため避ける)。栄養サポート: 高タンパク昆虫食ベースフード、皮膚治癒のためのオメガ3/6脂肪酸補給、体重減少>10%なら強制給餌。環境除染: 全ての寝具・床材を廃棄、ケージを温水 + 希釈漂白剤(1:10)で洗浄、新しい床材に交換、イベルメクチン処置毎に環境清掃を反復。全ての同居ハリネズミを同時に処置(無症状でも)。フィプロニル: 使用禁忌 — ハリネズミへの毒性。モニタリング: 各処置時に皮膚掻爬でダニ減少を確認、2回連続の陰性掻爬まで治療を継続。参考文献: Ivey & Carpenter (2012); Kim et al. (2012) J Vet Med Sci。
予防
ハリネズミにおけるカパリニアダニ症の予防は定期的駆虫・媒介動物制御・環境衛生の3本柱。消化管寄生虫: 子犬子猫は2-4週齢から繰返し駆虫、成獣は便検査結果に基づく定期投与。心血管寄生虫(フィラリア): 流行地での年間予防投与(イベルメクチン・ミルベマイシン等)。外部寄生虫: 月1回の外部寄生虫予防薬投与、環境清掃。散歩後のダニチェック、媒介動物(ダニ・蚊・ノミ)の生息環境改善も重要。
予後
積極的治療で予後良好 — ほとんどの重症カパリニア寄生は多面的治療(イベルメクチン3-4回 + 環境除染)の4-6週間以内に消退。棘の再生はダニ排除後2-4週間で開始、完全な棘の回復には2-3ヶ月。二次細菌感染は回復を遅延させる可能性。無治療では進行性の棘脱落・体重減少・衰弱、二次性敗血症による死亡の可能性。免疫抑制状態のハリネズミ(腫瘍併発、WHS)は治療に不応の場合あり。
関連する薬品
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