腸閉塞(糞便嵌頓)
概要
ハムスターにおける外傷性の消化器系疾患。腸閉塞は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
主な症状
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臨床徴候
ハムスターにおける腸閉塞(糞便嵌頓)の臨床徴候は消化管病変の部位と病態により異なる。上部消化管: 嘔吐・吐血・食欲不振。小腸: 下痢(小腸性: 量多・回数少・体重減少を伴う)・嘔吐・腹痛。大腸: 下痢(大腸性: 量少・回数多・粘液・血便・テネスムス)。急性腹症: 強い腹痛・嘔吐・ショック徴候・腹部触診で腫瘤や緊張感(GDV・腸捻転・腸閉塞)は緊急評価が必要。
原因
ハムスターにおける外傷性の消化器系疾患。腸閉塞は適切な診断と治療管理が重要である。早期発見と適切な介入が予後改善の鍵となる。
病態生理
腸閉塞(糞便嵌頓)はハムスターにおける栄養障害である。特定の栄養素の不十分な摂取、吸収不良、または過剰摂取により生じる。欠乏状態では、影響を受けた栄養素を補因子または基質として必要とする生化学的経路が障害され、細胞機能障害を引き起こす。過剰状態では組織への蓄積や栄養素間相互作用の障害により毒性が生じる。種特異的な食事要求により、適切な栄養管理が予防に不可欠である。
診断
排便減少~停止・食欲不振・腹部膨満を評価する。腹部触診で硬い腸内容物を触知する。腹部X線で消化管内の異物影・内容物停滞・ガス貯留パターンを確認し、造影X線で通過障害の部位を評価する。脱水評価のため皮膚ツルゴール・体重を確認。血液生化学で電解質異常を評価する。原因として食餌性繊維不足・脱水・異物摂取(綿製巣材が危険)・腫瘍による閉塞を鑑別する。頬袋に食餌を貯め込む習性から食餌量の正確な把握は困難な場合がある。
治療
腸閉塞(intestinal obstruction)。異物摂取 or 腸重積が主因。原因: 床材(綿花繊維 — 最多)、プラスチック片、種子殻。腸重積(若齢で多い)。臨床像: 急性食欲廃絶、腹部膨満、排便停止、嗜眠、脱水。 触診: 腹部緊張・疼痛(ハムスターは腹部触診が比較的容易)。診断: 腹部X線: ガス拡張腸管、異物陰影(放射線不透過性)。 エコー: 腸管拡張、蠕動低下、腸重積像(target sign)。治療(外科が原則だが体サイズの制約大): 内科的試験(部分閉塞・初期): 輸液: 生理食塩水/乳酸リンゲル10 mL/kg SC q8-12h(脱水補正)。 メトクロプラミド0.5 mg/kg SC q8h(蠕動促進 — 完全閉塞では禁忌)。 温腹(保温パッド — 低体温防止)。 外科的治療(完全閉塞 — 緊急): 腸切開(enterotomy): 異物除去。 腸切除吻合: 壊死腸管(腸重積・絞扼時)。 — ハムスターの腸管は極細(径3-5mm)→ 拡大鏡・マイクロ器具使用。 — 麻酔: イソフルラン吸入(チャンバー導入 → マスク維持)。 — 術中保温が最重要(低体温は致命的)。 術後: 抗生物質(エンロフロキサシン5 mg/kg SC q12h × 7日)、鎮痛(メロキシカム0.2 mg/kg q24h)。 ペニシリン系・セファロスポリン系経口は禁忌(致死的腸内細菌叢破綻)。予後: 慎重-不良。外科成功率は体サイズ・術者経験に大きく依存。
予防
ハムスターにおける腸閉塞の予防は栄養管理と環境管理が中心。バランスの取れた高品質食、急激な食事変更回避、食物アレルゲンの特定と除去食。草食動物(ウサギ・モルモット・チンチラ・デグー): 高繊維チモシー乾草を給与量の80%以上、ペレット過剰摂取回避、新鮮野菜の段階的導入。異物誤食予防(玩具・包装材・植物の管理)。定期的駆虫、ストレス管理、適切なワクチネーション。
予後
予後注意〜不良。ハムスターの消化管手術は体格の制約(体重30-40g)から技術的に極めて困難。外科的介入の成功率は低く、術後の回復管理も難しい。軽度の部分閉塞は流動パラフィン経口投与と輸液で改善する場合がある。完全閉塞の早期発見は予後改善の鍵だが、ハムスターは症状を隠す傾向があり発見が遅れやすい。「ふわふわ綿」巣材の使用禁止、安全な床材(ペーパー系)の使用が最も効果的な予防 (Lennox AM & Bauck L. 2020)。
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