胃潰瘍
概要
ストレス、NSAID使用、ヘリコバクター感染による胃粘膜の糜爛と潰瘍です。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示すデグーの他の疾患を確認できます
臨床徴候
デグーにおける胃潰瘍の臨床徴候は消化管病変の部位と病態により異なる。上部消化管: 嘔吐・吐血・食欲不振。小腸: 下痢(小腸性: 量多・回数少・体重減少を伴う)・嘔吐・腹痛。大腸: 下痢(大腸性: 量少・回数多・粘液・血便・テネスムス)。急性腹症: 強い腹痛・嘔吐・ショック徴候・腹部触診で腫瘤や緊張感(GDV・腸捻転・腸閉塞)は緊急評価が必要。
原因
デグーにおける胃潰瘍の原因: 慢性的なストレス(不適切な飼育環境・単独飼育・過密飼育)、不適切な食事(高糖質食・低繊維食)、NSAIDの不適切な使用が主な原因。デグーは社会性の高い動物であり、社会的ストレスが消化管に影響しやすい。糖尿病併発時の代謝異常も胃粘膜障害のリスク因子となる。
病態生理
胃潰瘍はデグーにおける消化器疾患である。胃酸分泌と粘膜防御因子のバランスが崩れ、胃粘膜の糜爛・潰瘍が形成される。ストレスによる交感神経亢進が胃粘膜血流を減少させ、粘膜バリアを脆弱化する。進行すると出血(黒色便)、穿孔、腹膜炎を引き起こしうる。デグーは後腸発酵動物であり、消化管機能障害は腸内細菌叢の破綻と全身状態の悪化に直結する。
診断
食欲低下・体重減少・黒色便(メレナ)の病歴聴取。ストレス要因(単独飼育・環境変化・過密飼育)の評価。腹部触診で疼痛部位を確認。便潜血検査でメレナを確認。CBC(貧血の有無)、血液生化学(TP/Alb低下・血糖値)。腹部X線・超音波で胃壁肥厚を評価。デグーは糖尿病を高率に発症し、高血糖による消化管粘膜障害が潰瘍の素因となるため血糖値・フルクトサミンの評価が重要。NSAIDs等の薬剤投与歴、不適切な食餌(糖分含有食品)も確認
治療
ストレス因子の除去が最優先: 適切な集団飼育(デグーは群居性)、環境エンリッチメント、安定した日課の確保。消化管保護: スクラルファート 25-50mg/kg PO q8h(他経口薬の30分前、粘膜被覆効果)。酸分泌抑制: ラニチジン 2-5mg/kg PO q12h、またはオメプラゾール 0.5-1mg/kg PO q24h。疼痛管理: メロキシカム 1-2mg/kg PO/SC q24h(慎重使用 — NSAIDsは潰瘍を悪化させうる。3-5日に限定し消化器症状悪化時は中止)。輸液: 脱水時に加温乳酸リンゲル液 10-15mL/kg SC q12h。食事: 高繊維チモシー主体食に移行、糖分を含む全てのおやつを禁止(デグーは糖尿病好発種)。ヘリコバクター感染疑い時: 3剤併用療法 — メトロニダゾール 20mg/kg PO q12h + アモキシシリン(非経口のみ — 15mg/kg SC q12h、経口アモキシシリンは禁忌)+ 次サリチル酸ビスマス 0.5-1mL/kg PO q8-12h、14日間。糖尿病併発時は血糖モニタリングと厳格な食事管理。社会的パートナーの提供 — 単独飼育は慢性ストレスとなり潰瘍を悪化させる。
PRPR・自社製品(補助療法オプション)
予防
集団飼育(2-4頭以上)の提供。環境ストレス因子の最小化(急激な変化、騒音、捕食者の存在の回避)。糖分を含まない高繊維チモシー主体食。NSAIDの長期使用回避。リスク動物の定期的な便潜血検査。環境エンリッチメント(ホイール、トンネル、採食機会の提供)。
予後
胃潰瘍の予後: 急性消化器疾患は多くが治療に良好に反応。閉塞性疾患は早期外科介入で予後良好。慢性疾患は食事管理で長期管理可能。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
消化器の他の疾患(デグー)
VetDictでデグーの鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。