バーバリング(過剰毛繕い)
概要
ストレスや退屈による過度な毛繕いで、自身や同居個体の毛が薄くなる。
主な症状
原因
皮膚バリア機能の破綻と局所微小環境の変化が発症の基盤にある。感染(細菌・真菌・寄生虫)、アレルギー反応、自己免疫疾患、内分泌異常による被毛・皮膚の変化、栄養欠乏、物理的刺激(摩擦、持続的湿潤)、環境アレルゲンへの曝露が原因となる。皮膚の常在菌叢バランスの破綻や免疫防御の低下が二次感染のリスクを高める。
病態生理
皮膚疾患の病態生理は表皮バリア機能の障害と免疫応答の異常に基づく。アトピー性皮膚炎ではフィラグリン変異等による表皮バリア破綻がアレルゲン侵入を容易にし、Th2偏向の免疫応答が炎症を持続させる。IgE架橋によるマスト細胞脱顆粒がヒスタミン放出と即時型反応を誘導する。細菌性皮膚炎では常在菌(特にStaphylococcus)の過増殖と毒素産生により膿疱・紅斑が形成される。
治療
バーバリングは主に行動学的/心因性の状態であり、根本原因への対処なしに薬物療法だけでは不十分。【行動評価】(1) ストレス源の特定 — 過密飼育、エンリッチメント不足、社会的順位争い、小さなケージ、退屈。デグーは高度に社会的で群れ飼育が必要(最低2頭、理想は3-4頭)だが、社会的ストレスがバーバリングを誘発しうる。(2) 自己バーバリングと他個体バーバリング(優位個体が同居個体を毛繕い)の鑑別 — 行動観察。【環境修正】大型ケージ(2-3頭で最低80×50×100cm)、多段構造、回し車(≥25cm無隙間表面)、砂浴び(チンチラ用サンド)週2-3回、フォレージング(牧草に餌を散布)、トンネル、かじり木。【社会管理】他個体バーバリングが判明したら攻撃者を一時的に隔離。ケージ再配置後に再導入。持続する場合は恒久的分離。【医学的除外】皮膚掻爬でデモデックス/皮膚糸状菌症を除外。真菌培養(DTM)。掻痒がある場合は行動ではなく基礎皮膚疾患を治療。【薬物療法(最終手段)】デグーでは十分に研究されていない。フルオキセチン1-2 mg/kg PO q24hが他の齧歯類から外挿されているが、エビデンスは逸話的。
予防
適切なスキンケア(定期的なブラッシング・シャンプー療法)、ノミ・ダニの予防、アレルゲン曝露の最小化が基本的予防策である。バランスの取れた食事(必須脂肪酸・ビタミン含有)による皮膚バリア機能の維持が重要である。アトピー素因を持つ個体では環境アレルゲンの管理と早期の減感作療法が慢性化予防に有効である。皮膚の異常は早期に獣医師の診察を受けることが推奨される。
予後
行動学的/環境的原因が特定・是正されれば予後良好。ストレス源除去後4-6週間で毛の再生。環境修正にもかかわらず持続する自己バーバリングは予後慎重 — 慢性疼痛や不安障害が基礎にある可能性。他個体バーバリングは社会的再構築で通常改善。
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