トリコフィトン皮膚炎(重度)
概要
複数の体部位に及ぶ広範な皮膚糸状菌症で、著しい痂皮と脱毛を伴う。
主な症状
原因
チンチラにおけるトリコフィトン皮膚炎(重度)の原因: 複数の体部位に及ぶ広範な皮膚糸状菌症で、著しい痂皮と脱毛を伴う。
病態生理
トリコフィトン皮膚炎(重度)はチンチラにおける真菌感染症である。真菌は胞子吸入、直接接種、または粘膜コロニー形成を通じて感染を確立する。菌糸または酵母形態が酵素分解と機械的圧力により組織に侵入し、肉芽腫性炎症反応を惹起する。免疫不全個体は特に感受性が高い。感染は局所にとどまるか、血行性に遠隔臓器へ播種される可能性がある。慢性感染は線維化、組織リモデリング、進行性臓器機能障害を引き起こしうる。
治療
トリコフィトン皮膚炎(重度)の治療: 診断確定 — 真菌培養(DTM寒天、Trichophyton mentagrophytesは7-14日で顆粒状コロニーと色調変化)、ウッド灯(T. mentagrophytesは通常陰性)、KOH検鏡(毛幹周囲の分節胞子)。全身性抗真菌薬(重度/全身性では必須): イトラコナゾール5-10 mg/kg PO q24h 6-8週間(チンチラの第一選択 — グリセオフルビンよりGI耐容性良好)。代替: テルビナフィン20-40 mg/kg PO q24h 4-6週間(殺菌的、T. mentagrophytesにより有効な可能性)。グリセオフルビン25-50 mg/kg PO q24h 脂肪食と併用6-8週間(従来薬だが肝毒性リスク — ALTをq2週モニタリング)。局所抗真菌薬(全身薬と併用): ミコナゾールクリームまたはエニルコナゾール(イマベロール)1:50希釈を病変部にBID 4-6週間。硫黄石灰ディップ1:40希釈 — 全身浴を5-7日間隔で4-6回(有効だが悪臭・着色あり)。クロルヘキシジン2%シャンプーは皮膚糸状菌に無効 — 単独使用不可。治療中は砂浴びを中止(砂が真菌胞子を拡散、抗真菌粉末を添加可 — トルナフテート1%を砂にティースプーン1杯/カップ混合)。病変周囲の被毛を2-3 cmマージンでクリッピング。環境除染(重要 — 胞子は環境中18ヶ月以上生存): 漂白剤1:10でケージ徹底洗浄、木製品/段ボール/多孔質素材を廃棄、寝具を60°C以上で洗濯、砂浴び材交換。同居チンチラ全頭を予防的に治療。人獣共通感染症の警告: T. mentagrophytesはヒトに伝播 — 治療中は手袋着用、取扱い後の手洗い、皮膚病変発生時は受診を指導。治療終了点: 2週間隔の連続2回陰性培養。経口ペニシリン系は二次細菌感染にも絶対禁忌(致死性ディスバイオシス)。参考文献: Mans & Donnelly (2020); Meredith & Johnson-Delaney, BSAVA Manual of Exotic Pets 5th ed (2010). [ECVN:Block] 【補助療法オプション — Equine & Canine Vet Nutrition (caninevet.jp)】 • For Antioxidant (アスタキサンチン+SOD+VitE+システイン): 抗酸化・慢性疾患免疫サポート
予防
トリコフィトン皮膚炎(重度)の予防には適切な環境湿度・温度の維持、良好な換気、過密の回避、定期的な清掃・消毒、罹患個体の隔離、適切な栄養による免疫機能の維持が含まれる。
予後
トリコフィトン皮膚炎(重度)の予後: 多くの皮膚疾患は適切な治療で予後良好。感染性疾患は抗菌薬/抗真菌薬で治癒可能。アレルギー性は長期管理が必要。
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