白内障
概要
水晶体の混濁により視力障害・飛翔をためらう・動作のぎこちなさを生じる。原因は加齢(高齢のセキセイインコ・マカウ・アマゾンに多い)、遺伝、既往のぶどう膜炎/外傷、栄養因子など。一部の系統(特定のカナリア等)には遺伝性白内障がある。鳥は視覚に強く依存するため部分的な白内障でもQOLが大きく低下しうる。選択例では鳥類眼科医による水晶体超音波乳化吸引術が可能。
主な症状
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臨床徴候
鳥における白内障の臨床徴候は罹患部位(角膜・結膜・前房・水晶体・網膜)と病態により異なる。結膜炎: 結膜充血・分泌物・流涙・眼瞼痙攣。角膜潰瘍: 流涙・眼瞼痙攣・羞明・角膜混濁(蛍光染色陽性)。緑内障: 急性眼痛・角膜浮腫・散瞳・眼球膨大・視覚消失。白内障: 水晶体混濁による進行性視覚障害。網膜疾患: 夜盲先行の進行性視覚障害(PRA等)・急性視覚消失(網膜剥離)。
原因
加齢性(老年性)水晶体変性、遺伝性(カナリアや一部のオウム目で報告)、慢性ぶどう膜炎や外傷への続発、栄養・代謝因子。術前には網膜機能確認のため網膜電図(ERG)が推奨される。
病態生理
水晶体のクリスタリン蛋白が変性・凝集して光を散乱させ、進行性に混濁することで錐体に富む鳥の網膜に届く光が減少する。加齢・酸化ストレス・遺伝的欠損・既往の眼内炎症がこの過程を加速する。成熟・過熟白内障は水晶体蛋白を漏出して水晶体起因性ぶどう膜炎を惹起し、続発性緑内障の素因となりうるため、手術を行わない場合でも炎症・膨化した水晶体の経過観察が重要である。
診断
眼科検査:スリットランプ生体顕微鏡で水晶体混濁の範囲・成熟度を評価(初発/未熟/成熟/過熟)。眼底検査(散瞳後に網膜評価、鳥類は横紋筋虹彩のため散瞳にd-ツボクラリン点眼が必要)。眼超音波検査(B-mode: 水晶体脱臼・硝子体混濁・網膜剥離の除外)。CBC・血液生化学(糖尿病性白内障の除外に血糖値測定)。鑑別:外傷性・代謝性(ビタミンE欠乏)・感染性・先天性・加齢性。ERG(網膜電図)で手術適応を判定
治療
白内障を内科的に消退させる治療はない。網膜機能(ERG)が確認された選択例では、鳥類眼科医によるイソフルラン麻酔下の水晶体超音波乳化吸引術+水晶体摘出が根治的選択肢(鳥は調節範囲が広く無水晶体眼に比較的順応する)。手術を行わない場合: 水晶体起因性ぶどう膜炎(ジクロフェナク0.1%やフルルビプロフェン0.03%などのNSAID点眼)と続発性緑内障を監視し、食事・飼育を是正、視覚障害のある鳥のためにケージ配置を一定に保つ。
予防
予防には適切な飼育管理(適切な食事・清潔な環境・最適な温湿度);定期的な獣医師の健康診断;新規動物の検疫;ストレス軽減;種特異的予防措置が含まれる
予後
変性疾患の予後は進行速度と管理可能性に依存する。緩徐進行性の場合、適切な対症療法とQOL管理で長期生存が可能。急速進行性の場合は予後不良。定期的な再評価と治療調整が重要。
関連する薬品
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