自咬症(セルフミューティレーション)
概要
フクロモモンガ飼育で最も深刻な行動障害。ストレス・孤独・疼痛が原因で自身の体(特に陰嚢・四肢・尾・膜翼)を噛む自傷行為。単頭飼育・不適切な環境で多発。重症例は四肢切断に至る。
主な症状
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臨床徴候
フクロモモンガにおける自傷行為の臨床徴候は原因と病期により異なる。急性: 紅斑・水疱・湿潤性病変・激しい掻痒・脱毛(接触性皮膚炎・蕁麻疹)。慢性: 苔癬化・色素沈着・脱毛・落屑・痂皮(アトピー性皮膚炎・慢性膿皮症)。分布パターンが診断に有用: 顔面・指趾(アトピー)、耳・腹側(蚤アレルギー)、対称性脱毛(内分泌性)、円形病変(皮膚糸状菌・毛包虫)。
原因
単頭飼育(最大のリスク因子)、不十分な環境エンリッチメント、狭いケージ、疼痛(歯科疾患・外傷等の基礎疾患)、去勢術後の陰嚢自咬、飼い主の過剰な接触・不規則な生活リズム。
病態生理
慢性ストレス・社会的孤立・疼痛→コルチゾール持続上昇→異常行動(常同行動)としての自咬開始→組織損傷→疼痛→さらなる自咬の悪循環。神経内分泌系の恒常性破綻。雄の去勢後(特に陰嚢)に多い。
診断
身体検査で自傷部位(陰茎・四肢・飛膜・尾が好発)の損傷程度を評価。飼育環境の詳細聴取(単独飼育・ケージサイズ・enrichment不足)。CBC・生化学で基礎疾患除外。皮膚掻爬・培養で感染性皮膚疾患を除外。社会的種であるフクロモモンガの孤独ストレスが主因であることが多く、同居個体の有無・飼い主との接触時間を重点的に聴取する。
治療
原因の特定と対処が最優先。(1)単頭飼育→同種の同居個体を導入(段階的に)、(2)環境エンリッチメント(広いケージ・隠れ家・フォレジング)、(3)疼痛管理(メロキシカム0.2mg/kg SID)、(4)エリザベスカラー(自咬防止、短期間)、(5)重症例:ジアゼパム(0.5〜1mg/kg)or フルオキセチンの短期使用、(6)壊死組織のデブリードマン・抗菌薬。
予防
ペアまたはグループ飼育(単頭飼育を避ける)。十分なケージサイズ(最低60×60×90cm以上)。環境エンリッチメント。適切な光周期(夜行性を尊重)。バランスの取れた食事。
予後
原因が改善可能な場合は予後良好(社会的パートナーの導入等)。慢性化した自咬行動は矯正困難。四肢壊死例は切断後も再発リスクあり。
関連する薬品
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