妊娠中毒症
概要
デグーの妊娠毒血症は妊娠後期(85日以上)または産後初期の代謝緊急事態で、負のエネルギーバランスが原因。デグーは糖尿病易発性があり(飼育下デグーの20-30%が糖尿病易発)、妊娠毒血症が不顕性糖尿病を顕性化させたり感受性が高い個体で顕性高血糖を誘発しうる。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示すデグーの他の疾患を確認できます
臨床徴候
デグーにおける妊娠中毒症の臨床徴候は生殖器病態により異なる。子宮蓋膿症: 多飲多尿・嘔吐・元気消失・腹部膨満・陰部分泌物(開放型)または無症候進行(閉鎖型)。乳腺炎: 乳房腫脹・疼痛・発熱・乳汁異常。前立腺疾患: 排尿困難・血尿・排便困難・後肢跛行。難産: 分娩遷延・努責持続・分娩間隔異常・母体ぐったり。妊娠中毒症: 終末期妊娠の元気消失・食欲不振・神経症状。
原因
妊娠後期または乳汁分泌期の負のエネルギーバランス。肥満が悪化因子(最大リスク;理想体重の>25%超過で劇増)。育種前栄養不良、大産仔数(高乳汁需要)、難産ストレス、または産後急速体重低下。デグーは単純糖の代謝が効率的でない—妊娠中の食事果実/砂糖摂取が代謝安定性悪化。不顕性糖尿病または境界線糖耐性が妊娠代謝ストレス時に毒血症として顕現化しうる。
病態生理
妊娠後期と乳汁分泌期、デグー代謝需要は指数関数的増加。肝性糖新生が需要に応じられなければケトン代謝に依存(β-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、アセトン産生)。デグー糖尿病易発個体では、併存インスリン機能障害で高血糖が悪化し、ケトン代謝が障害され、双方代謝危機:低血糖ケトーシス同時または高血糖ケトーシス(インスリン不足時)。代謝性アシドーシス発生(pH <7.25 = 重症)で神経機能障害・けいれん・24-48時間内に心血管虚脱。
診断
妊娠後期の雌デグーで食欲廃絶・活動性低下・流涎・痙攣が見られた場合に強く疑う。血液生化学で低血糖(<50 mg/dL)・高ケトン血症・肝酵素上昇・高脂血症を確認。尿検査でケトン尿を検出。腹部超音波で胎仔の生存確認・子宮の状態を評価。血液ガス分析で代謝性アシドーシスを評価。デグーは糖代謝異常を起こしやすい種であり、妊娠中のエネルギー需要増大が発症誘因。糖分・単純炭水化物の過剰給餌歴を聴取(デグーには糖分含有食は禁忌)。緊急帝王切開の適応を判断
治療
緊急対応:1) ブドウ糖支持:50%デキストロース急速ボーラス(0.5-1.0 g/kg IV 急速)THEN 5%デキストロース継続IV(50-100 mL/kg/day × 24-48時間)。血糖 q4h モニタリング目標 100-150 mg/dL(デグー糖尿病傾向で他種より高目標)。2) 積極的シリンジ給餌:q3-4h で高エネルギー無砂糖食(ティモシーヘイペースト、野菜ピュレ—果実なし、全砂糖回避)、最小100 kcal/kg/day × 5-7日。重大:回復中は果実・蜂蜜・甘い食べ物禁止。3) 支持輸液:IV or SC 乳酸リンガー 50-100 mL/kg/day × 48-72h でアシドーシス・電解質異常是正。電解質 q12h モニタリング。4) ビタミンC補充:アスコルビン酸 100 mg/kg SC/PO q12h × 5-7日(デグーはビタミンC 合成不可;ストレス・乳汁分泌で枯渇)。5) 鎮痛:メロキシカム 0.3-0.5 mg/kg SC q12h × 5日。6) 代謝モニタリング:血糖 q4h(目標100-150 mg/dL、低血糖と高血糖両方回避)、血液ガス/電解質 q12h(pH >7.25 = アシドーシス改善)、尿ケトン日1回、HbA1c 1週後(糖尿病潜在性スクリーニング)。7) 糖尿病スクリーニング:治療にもかかわらず高血糖(>200 mg/dL)発症時は併存糖尿病を検討—産後長期インスリン療法必要な場合あり。8) 産科的:妊娠末期で急速悪化時、緊急帝王切開(イソフルラン麻酔)は生命救助可能。
予防
重大な予防:1) 体重管理:育種前体重 180-220g 維持(肥満が最大リスク因子;>240g は育種禁忌)。2) 育種年齢:3-6ヶ月齢のみ(遅延育種回避;初回育種は <6ヶ月)。3) 育種前栄養重大:ティモシーヘイ給与量制限なし、バランスペレット 15-20g/日(果実/食べ物なし)、ビタミンC 100+ mg/kg/日(必須—デグーは外因性ビタミンC必要)、カルシウム 1-1.5%、砂糖禁止(デグー遺伝的糖代謝不良)。4) 妊娠食:ペレット 20-25g/日に増量、全果実/砂糖回避継続、ビタミンC補充継続。5) 大産仔数最小化:大雄と大雌交配回避。6) 育種前血糖スクリーニング:糖尿病易発疑い個体で HbA1c または空腹時ランダム血糖。HbA1c >5.5% または空腹時血糖 >120 mg/dL なら育種延期—育種予定ないなら避妊。7) 妊娠後期ストレス最小化(取扱い軽減、温度 65-75°F 維持)。8) 直ちの難産介入(毒血症リスク 3-5倍)。
予後
無治療または遅延 >24時間で死亡率 40-60%。直ちの緊急対応(IV ブドウ糖、積極的シリンジ給餌、IV 輸液)で症状発現12時間以内の治療開始なら50-70%生存。けいれん発症(血液ガス pH <7.15)または併存高血糖(>300 mg/dL = 顕在化糖尿病)で予後劇悪化—死亡率 >80%。新仔:母体生存で人工哺乳可能。産後重大:母体の糖尿病スクリーニング(HbA1c、空腹時血糖反復);HbA1c >5.5% または空腹時血糖 >120 mg/dL なら母体は糖尿病—避妊実施(育種再試行で40-80%再発)。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
内分泌の他の疾患(デグー)
VetDictでデグーの鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。