心筋炎
概要
ウイルス、細菌、寄生虫感染による心筋の炎症で、心機能障害を引き起こします。
主な症状
※ 症状をクリックすると、その症状を示すチンチラの他の疾患を確認できます
臨床徴候
チンチラにおける心筋炎の臨床徴候は心機能低下の程度により段階的に進行する。代償期(無症候): 心雑音が唯一の所見、聴診で発見される。早期心不全: 運動不耐性・咳(左心不全)・腹水(右心不全)。進行性心不全: 呼吸困難・チアノーゼ・失神・夜間咳。末期: 起座呼吸・肺水腫・心原性ショック。猫では FATE(大動脈血栓塞栓症)として急性後肢麻痺・冷感・疼痛・パルス消失で発症することがある。
原因
チンチラの心血管系組織における炎症過程が原因。感染・外傷・自己免疫応答・中毒曝露・異物反応が誘因。慢性炎症は持続的な抗原刺激や免疫調節異常に起因しうる。チンチラの種特異的炎症反応は家畜種と異なりうる。
病態生理
チンチラの心血管系組織における炎症過程は、自然免疫および適応免疫応答の活性化を伴う。炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1、IL-6)とケモカインが好中球・マクロファージ・リンパ球を患部組織に動員する。持続的炎症は組織浮腫・血管透過性変化・進行性組織損傷をもたらす。チンチラの生理学的特性が炎症反応パターンと治癒能力に影響しうる。
診断
聴診で心雑音・不整脈を確認する。心電図で伝導障害(PR延長・QRS幅増大)・ST変化を検出する。心臓超音波検査で壁運動異常・心筋エコー輝度変化・心嚢液を評価する。心筋トロポニンI(cTnI)の上昇で心筋障害を確認する。チンチラはストレスに極めて敏感であり、過度のハンドリングが心筋炎を悪化させるため検査は最小限に留める。CBC・CRP・血液培養で感染性心筋炎を評価する。室温管理(18-22℃)が必須。
治療
心筋炎の治療: 心エコーで心機能評価(短縮率、心腔径、弁逆流)。うっ血性心不全の場合: フロセミド1-4 mg/kg PO/SC/IM q8-12h(最低有効量に漸減、脱水モニタリング)。ACE阻害薬: エナラプリル0.5 mg/kg PO q24hまたはベナゼプリル0.5 mg/kg PO q24h(後負荷軽減)。心房細動・上室性頻脈: ジゴキシン0.005-0.01 mg/kg PO q12-24h(治療域が狭い — 血中濃度モニタリング)。ピモベンダン0.1-0.3 mg/kg PO q12h(陽性変力・血管拡張作用、犬猫用量から外挿)。呼吸困難時はフローバイまたはチャンバーで酸素補給。急性期はケージ内絶対安静。感染性が疑われる場合: 細菌性にはエンロフロキサシン5-15 mg/kg PO q12h、エンセファリトゾーン・クニクリ疑いにはフェンベンダゾール20-50 mg/kg PO q24h×28日間。胸水が著明な場合は胸腔穿刺。食欲不振時はクリティカルケア(Oxbow)で栄養支持。環境温度18-21°C維持(熱ストレスは心拍出量を悪化させる)。予後は要注意〜不良 — 進行したCHFのチンチラの生存期間は限定的。2-4週間隔の連続心エコーで進行をモニタリング。参考文献: Pignon & Mayer, Vet Clin Exotic Anim Pract (2015).
予防
予防には適切な飼育管理(適切な食事・清潔な環境・最適な温湿度);定期的な獣医師の健康診断;新規動物の検疫;ストレス軽減;種特異的予防措置が含まれる
予後
炎症性疾患の予後は原因の特定と除去、治療反応に依存する。急性炎症は適切な治療で予後良好な場合が多い。慢性炎症は長期管理が必要で、進行性臓器障害のリスクがある。抗炎症療法と原因治療の併用が予後改善に重要。
関連する薬品
※ 薬品名をクリックすると詳細な投与量・副作用情報を確認できます
循環器の他の疾患(チンチラ)
VetDictでチンチラの鑑別診断を行う
症状チェッカーを使う関連する疾患
VetDict は獣医師(DVM)が開発した臨床支援ツールです。